きょうのことば 第17集 / The Words / 2007.12更新 | |||
きょうのことば 第17集 2007 The Words |
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ことばの使い方ひとつで、ものごとがガラリと変わる。みんなはそう言っているけど、裏を返せばこんな意味なんじゃない? キレイごとは、なし。時事世相に「忍び足、のち急襲」でせまっていきたい。
▲最新の「きょうのことば」
20071209号
精神衛生上問題のあるスーパーマーケットの…◆賞味期限の偽装やら基準値を超える農薬やら産地偽装やら、食品業界周辺が近頃騒々しい中、近所のスーパーマーケットに立ち寄った。
◆つい数か月前まで「あら、これ安いわねぇ」と言ってこぞって買っていた中国産野菜。 ◆病原性大腸菌O-157問題をターニングポイントにして、潔癖症と言わんばかりに食品の衛生を過度に気にする消費者が増えた。製造日が一日でも早い商品を陳列ケースの奥から取る姿は日常風景となった。 ◆しかし、五感でものを判断せず、ラベルに印刷された数字だけで選ぶその滑稽さが賞味期限の偽装を生み出したことは誰もおおっぴらにはしない。 ◆味も知らないのに、ラベルに印刷された「〜産」という文字だけで選ぶその滑稽さも同じである。 ◆いずれにしてもこれらの事件に対して感情的怒りをぶつけるのは、決まって騙された人たちだ。社会的怒りではなく私憤に終止するから、根本的問題をスルーしてしまうのだ。 ◆…といろいろ考えながら店内を巡っていると、その思考を遮るかのごとく、わけのわからぬ音楽が精肉売り場に備え付けられたラジカセから流れている。
♪きょうはお肉がたべた〜いから 鍋 鍋 鍋 鍋 鍋にしよ〜! ◆歌唱力もさることながら、メロディライン、歌詞、どれを取っても不快感を覚える音楽である。 ◆こんな気の狂ったような歌に乗せられて「今日の夕飯は鍋物にしよう」と思う人はいるのだろうか。むしろ思い留まるのではないだろうか。 ◆販売促進目的で流されるこうした音楽が、われわれの食品衛生ならぬ精神衛生を悪くしていることは、これもおおっぴらにしないのであろう。 ◆さて、自問する。この音楽に対する怒りは社会的怒りであろうか。これもまた私憤で終止しているから、根本的解決になっていないのである。
20070722号
そこで笑ったやつは同罪◆某外務大臣が「アルツハイマーでもわかる」と発言したことが問題になっている。
◆それ以上に問題なのは、発言が出たときの聴衆が行なったリアクションである。
◆笑った聴衆は某外務大臣の失言を批判する資格はない。同罪である。
20070519号
真・子供に見せたくないテレビ番組◆社団法人PTA全国協議会は毎年、小中学生(小5〜中2)の保護者を対象にアンケートを実施して「青少年の健全育成の観点から許容できないテレビ番組」を発表している。 ◆いつも筆頭に挙がるのは、お笑いタレントによるバラエティ番組(具体的には『ロンドンハーツ』)と子供向けアニメーション(具体的には『クレヨンしんちゃん』で、いずれも「下品である」というのが理由だそうだ。 ◆しかし、毎度ワーストランキングに名を連ねるのはそれだけ知名度がありみんなが視聴している、という意味である。「下品だ」、「見せたくない」と言いつつも、実のところはそれらの番組にチャンネルを合わせている。正直、子供は楽しいから視聴しているのだ。 ◆本当の意味で「子供に見せたくない番組」というものはトップには上がってこない。なぜならこれらの番組は「オトナが喜んで見る番組」だからである。オトナが喜んで見ている脇で子供がそれに付き合わされている。タバコに喩えれば副流煙のような有害性を持つ番組である。 ◆マスメディアに報道されるのはせいぜいワースト10位だ。アンケート集計結果からランキングの20位〜30位あたりを分析すると「真の子供に一番見せたくないテレビ番組」があるのではないか。これらのランク域にはメディアにも取り上げられることが少ない、いや「オトナの楽しみ」が減るから改善すらなされない。 ◆うがった見方をすれば、「子供に見せたくない…」といった調査は、子供向け〜若者向け番組を槍玉に挙げて、テレビを子供たちから取り上げては独り占めしたいつまらないオトナたちのためにあるのではないか。
◆真に「子供に見せたくないテレビ番組」とは何か。
1.人の不安を煽る であると考える。こうした人道的に卑劣と言わざるを得ない番組が平然と放送され、そこそこの視聴率をはじき出しているという事実がそこにはある。
◆さきに挙げた3つの項目にすべて該当する番組は探せばたくさん見つかる。かのねつ造問題で打ち切りになった『発掘!あるある大事典』もその一つであった。 ◆他にもまだある。「このままでは地獄に堕ちる」だのと煽っては前近代的な価値観を押し付ける番組、「このままでは日本の安全が守れない」と煽っては一方的な政治主張をして世論を誘導する番組…。後者は「子供に見せたい番組」の「ニュース番組」の中に潜在しているのだからたちが悪い。 ◆ワーストランキングの上位部分だけを見て「青少年の健全育成の観点から許容できない番組」を見誤ってはいけない。
20070513号
NHKのど自慢の所感◆私にとって出演者やゲストなどには一切興味がない。 ◆ただ関心するのは、どんなジャンルの音楽でも生演奏してみせるバックのプレイヤー(バンド)である。
◆出演者がどんなに歌の調子を外そうが、どんなにコスプレしようが、そんなことには目もくれずにただただ譜面に向かってリズムを刻み、メロディーを奏でる。
◆20年近く前のシンセを大事に使っている点も見逃せない。
◆バックの演奏者に意識して眼を向けたくなった昼下がりの12時43分。
20070418号
ニッポンの教育改革◆ゆとり教育の脱却。
◆OECDの学習到達度調査で悪い成績を目の当たりにしたこの国のトップが考えたことは「ああ、恥ずかしい」しかなかったのでしょう。小中学校で全国一斉学力テストを実施して地域別の学力を算出するのも「ああ、恥ずかしい」を脱却したいから。きっと議員センセイは自分の選挙区の成績が全国でどの位置に存在するのかで一喜一憂するのです。
◆OECDの学習到達度調査は「エンドレス暗記+コピーアンドペースト教育」では解けないのです。
◆しかも「民間でできることは…」の号令によって学力テストをめぐって巨大なビジネスが動く。これが資本主義です。 ◆愛国心の育成。
◆この国が好きだ、と胸を張って言えるようでないと議員センセイにはなれません。 ◆議員センセイの「好きだ!」と絶叫するところの基準とわれわれが心静かに抱く「好きです。」という基準。その間にはとても大きな温度差があるように思うのです。この温度差を感知した上でうまく調整するセンサーがセンセイ方に備わっていればいいのですが、無理だったようです。
◆「オレは熱い風呂が好きなんだよ、水で埋めるな、我慢して一緒に入れ」 ◆そういえば、群馬県の草津温泉では高温で湧き出る源泉の成分を薄めないために、木の板でお湯をかき回すことで温度を下げる「湯もみ」をしているところがあるそうですが、参考まで。
20070402号
罵倒語日米比較
◆日本では他人を罵倒するときに「死ね」ということばが使われる。
◆片や生命の終わりを意味し、片や生命の生産を意味する。 ◆そしてこうしたことばを記述することで、このページが日米版双方のWebフィルタリングソフトに引っかかって読めなくなってしまうという事実。 ◆われわれは何を隠そうとしているのだろうか。
20070208号
安全と危険の間◆安全を求めるほど、新たな危険が生まれる。 |
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