きょうのことば 第12集 / The Words / 2004.12更新 | |||
きょうのことば 第12集 2004下半期 The Words |
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ことばの使い方ひとつで、ものごとがガラリと変わる。みんなはそう言っているけど、裏を返せばこんな意味なんじゃない? キレイごとは、なし。時事世相に「忍び足、のち急襲」でせまっていきたい。
20041201号
巷の名曲 「明るい街」〜池田興産灯油巡回販売車ソング〜
冬到来。数ヶ月前までの猛暑がうそのように寒くなってきた。 そんな季節の風物詩となるのが住宅街を走る灯油の巡回販売車。各々の業者がさまざまな音楽を流して販売車が来たことを知らせて回るのだが、もっとも気になっているのがこの歌だ。
♪今日も明るい 街から街に… メロディは子供の頃からずっと聞き続けているのにもかかわらず、歌詞の全貌が見えてこない。販売車のラウドスピーカーに耳を傾けても音割れしていてまったく聞き取れないのだ。そもそもこの曲は誰の作品なのだろうか。
この歌の曲名と作詞作曲者が知りたくなった。 この作品、池田興産と呼ばれる石油販売会社のCMソングで、1970年代初頭から灯油巡回販売で流されている。歌声を聞くと歳の取ったおばさんが歌っているようだが、コーラスは森の木児童合唱団によるもの。 イントロのけだるいトランペットは薄暗くなった冬場の夕方の空を描くようにけだるく、カチャコポカチャコポというリズムに狭い路地裏で遊んだ遠い過去を連想する。たとえ21世紀になろうとも、街並みが鉄筋コンクリートの高層マンションに囲まれようとも、この音楽が鳴り響いている間は「昭和」なのである。まだ日本の都市に良くも悪くも「近所付き合い」や「向こう三軒両隣」が残っていた時代が確かにあったのだとこの曲を聞いて思う。 ちなみに『明るい街』は神奈川県横浜市戸塚区周辺で流れていたそうだが、埼玉県川口市や蕨市など南部地域では「♪灯油は三裕〜街から街へ〜」という同様のメロディの歌詞違いバージョンが現在でも流れている。 ただ残念なのは、子供の昼寝の時間や夜更かしをして遅くまで寝ている人を狙ったように大音量で流されること。せっかくの大御所が作曲した音楽もボリュームとTPOを無視したら騒音以外の何者でもない。
20041019号
「やれば出来る」は悪魔の囁き 10月12日から始まった臨時国会。所信表明演説で首相が述べたことばがこれだ。 「『やれば出来る』は魔法の合い言葉」
夏の甲子園大会で準優勝した愛媛県の私立済美高校学園歌「光になろう」の一節を引用したものだが、かの首相が引き合いに出すと、なんだか胡散臭くて仕方がない。
腕を取り 肩を組み 信じてみようよ と続くが、信じるに値する根拠が乏しい首相の答弁に、素晴らしい明日など微塵も見えてこない。自分を信じ、仲間を信じてともに学び合おうという学園歌のメッセージが汚された気分だ。 ところで「やれば出来る」ということばは一見励ましのことばに聞こえる。しかし、論理を追ってみると、
「やれば出来る」(p⊃q) と導くことができ、すなわち 為せば成る。為さねば成らぬ何事も。成らぬは人の為さぬなりけり(上杉鷹山)
と同じ道徳的非難になってしまう。
世の中、努力で伸ばせるものと、努力だけではどうにもならないことがある。何がなんでも「努力すれば道が拓ける」とばかりに急き立て「出来ないのはやってないから」と非難するならば、確実に意欲は喪失し、魔法の合言葉どころか、悪魔の囁きになる。 ところで例の「改革の本丸・郵政民営化」は「やれば出来る」で貫けるものなのだろうか。「やる必要がないから、やらない」ものを持ち出されて「今まで誰も言わないタブーだった」などと豪語しているのだから病膏肓に入っている。 やるだけやって できなければ 他の道を拓け 閉塞しきった世の中における魔法の合言葉は、これだ。
関連サイト
20040728号
巷の名曲 日本文化センター電話番号ソング
お昼や午後のワイドショー時間帯によく流れるコマーシャルといえばこれ。
♪東京 ぜろさーん が1991年4月の市外局番4ケタ化に伴って、
♪東京 ぜろさーん となり、近年では全国共通フリーダイヤル導入によって
♪ぜろいちにぃぜろー と電話システムの変化に伴って歌詞も併せて変わっているのが興味深い。なお、地域によって電話番号や歌い手が異なることは、ネット上のWebサイトを検索すれば続々出てくるので言及しないが、あらゆる市外局番であのメロディが対応できるのは、曲としての完成度が高いからではないかと考える。
気になるのは、このメロディを誰が作曲したかということ。
作曲者は小倉靖氏。曲名はずばり「日本文化センター」。 この作品をよく聴くと、経年によって「とうきょうぜろさーん♪」のコーラスとバックオケに違いがあることに気づく。先に触れた1979年の映像から音を拾って聴くと、バックオケが生楽器で演奏されており、ベースやマリンバの音色に深みがある。また、コーラスにおいても、往年のABBA(アバ)を思わせる軽快感と重厚感、そしてセクシーさを備え、わずか6秒足らずの短いメロディにも奥深さがあることを思い知らされる。 近年はコーラスが若返っているのだが、どこか物足りなさを感じる。模範解答を聴かされているようでいまひとつセクシーさに欠ける。昼下がりのワイドショーも芸能人のスキャンダルネタから生活情報番組に変化しているところをみると、番組のスタイルに合わせてコーラスも変化させているのではないかと妄想してしまう。
20040711号
巷のパロディ 「選挙公報チラシ」
民主党の選挙公報チラシなら、ここまでやってほしかった。 ※投票時間終了まで、政党名の表示を伏せておりました。
20040705号
投票前はニュースを見ない
◆7月11日は参議院選挙の投票日。 ◆競馬や競輪ではないのだから、議席数を予想することの意味が分からないし、投票前になってしきりに流れる「景気回復の兆し」という胡散臭いニュースで自己判断が狂うことを恐れたためだ。政党がマスコミの選挙報道に対していろいろと注文をつけていて、都合のいい情報しか流さないように仕向けているのも理由の一つだ。
◆投票するときの判断基準はあくまでも「実感」だ。 構造改革なくして日本の再生と発展はない 新世紀維新 痛みを恐れず、既得権益の壁にひるまず、過去の経験にとらわれず 聖域なき構造改革 改革断行内閣 e-Japan重点計画 IT2002プログラム 科学技術創造立国 離職者の再就職を支援 民間にできることは民間にゆだね、地方にできることは地方にゆだねる 事後チェック・救済型社会 生きがいを持って、安心して暮らすことができる社会 給付は厚く、負担は軽く(というわけにはいきません) 保育所の待機児童ゼロ作戦 すべての公用車を低公害車に ゴミゼロ作戦 世界一安全な国、日本 日韓国民交流年 治にいて乱を忘れず タウンミーティング 小泉内閣メールマガジン 米百俵の精神 変革の時代の風
◆これは2001年5月の小泉内閣所信表明演説で出現したキーワードを羅列したものだが、3年経ったいま、このキーワードのうち、実感にいたったのは「タウンミーティング」と「小泉内閣メールマガジン」くらいなものだ。 |
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