ことばの使い方ひとつで、ものごとがガラリと変わる。みんなはそう言っているけど、裏を返せばこんな意味なんじゃない? キレイごとは、なし。時事世相に「忍び足、のち急襲」でせまっていきたい。
(「きょうのことば」は、「STIJNews」のワンコーナーです。ここでは過去のバックナンバーを収録しています。)
今回はこのサイトをご覧の皆さまから頂いた川柳を通じて、一生活者の立場から観たことし一年を振り返ってみたいと思います。
神奈川県R.S様の作品。デフレスパイラルが世のサラリーマンを牛丼屋とハンバーガーショップに向かわせたのはニュースでも話題に。しかし当事者が詠むと言いようのない哀愁感が漂う。いずれも食べ続けると確実に胃をこわすメニューである。
埼玉県E.A様の作品。失業率5.4%を実感しているのは失業者自身。求人票ファイルを閲覧するために人をかき分けてファイルボックスに向かう、失業給付金を貰うため、芋を洗うような混雑を縫って窓口へ。事務的で安定所の職員に相談なんかできやしない。17字の背景にある「叫び」を感じてみたい。
この一句だけ短歌です。
広島県W.N様の作品。ギャルソンのジャケット、ドコモのFOMA対応Nシリーズ、ノートパソコン…ブルジョワ小学生(餓鬼)のクリスマスプレゼントをテレビの情報番組で紹介していたとのこと。モノの価値をしっかり教えこんでから渡すべきだし、わからないような人には渡すべきでない。もちろんプレゼントを選択する両親、祖父母も同様。
埼玉県S.O様の作品。現在失業中だそうだ。上の短歌とセットで詠んでみたい。これからの時代、「貧富の差」という尺度で読み解くのではなく、「価値の理解度」を尺度にしてほしいと思う。
同じく埼玉県S.O様の作品。現在失業中。昼間は職安と求人サイトで仕事探し、時間が余った夕方には、あの高崎一郎氏が
「いちはちのヨイヨイ。こういうことになっております。ありがとうございました。」
と至極丁寧な日本語で語ってくるマダム向け番組、「レディス4」を観るのが日課だそうだ。「この一時間だけが潤いとエレガンスを感じる」との詠み人の言にさらなる哀愁が。
東京都I.K様の作品。ストレスがたたって軽い鬱状態になったそうで、症状が悪くならないうちに精神科へ訪れたところ、あまりの患者の数に驚いたとのこと。日を改めて出かけてもやはり人が多くて長い時間待たされたそうだ。
表立っては言わないにしても、心の病に罹っている人はかなり多いはず。なぜ病まなければいけないのか…。
同じく東京都I.K様の作品。邦画で興行収入260億円を記録した「千と千尋の神隠し」を観ていたI.Kさんは涙が出てきたそうだ。しかも「千尋が風呂屋で汚れた浴槽をタワシでこする」シーンだという。「何か働いているときの自分の姿にダブって、イヤだって言えないのはつらいよね、って…」とのこと。観終わったあとの余韻が重い。
21世紀のはじまりだというのに、身のつまされる、息が詰まってきそうな句が多かったのは、このご時世がそうさせるのでしょうか。「改革の痛み」は仕方がないとはいえど、出口の見えないトンネルを歩いている中でも、多少なりとも明かりを見たいものです。来年はもう少し胸がすくような一句を詠みたいものでございます。
ありがとうございました。
ついにテロ対策関連法案が国会を通過した。自衛隊の海外派遣に賛否分かれるところだが、出航しようとしている隊員に向かって「派兵ハンターイ!」なんて叫ぶのは何か違うような気がしてならない。叫ぶ相手が違うと言いたい。
ただ、少なくとも「アジアの一員として」の視点で派遣した、というよりは「アメリカの様子見として」派遣した印象が強く、国際政治的に果たして何らかの益をもたらすかは全くの未知数だ。はじめの話では「報復後の復興に協力する」と言っていたのだが…。
そんな折に見かけたのがこんな風景。自民党のコイズミポスターの隣に見える恐ろしげなメッセージ。
「私は死と地獄の鍵を持つ キリスト」
もしかしたら、「死と地獄の鍵」を持っているのは、キリスト看板のそばにいる写真の人かもしれない。
(小さい写真をクリックすると拡大画像がご覧になれます)
7月に封切りされて以来、230億近くの国内最大興行収入を記録している宮崎駿監督のアニメーション映画「千と千尋の神隠し」。10月以降のロングランが決まり、筆者も多少空いた映画館で鑑賞することができた。
世知辛い時代がファンタジーを求めたともいえるが、このヒットの背景には、先行きの見えない現在において「いま、ここで自分はどう生きていけばいいのか」を問うメッセージが含まれている部分にあるのではないかとふと思う。私自身、「荻野千尋」や「カオナシ」を自分に見立てていろいろ考えてしまった。
仏教の「唯識」で読み解くと面白そうな場面もあり、さらに興味を深くそそる。
ところで、金曜日の新聞の夕刊には、さまざまな映画上映予定の広告が掲載されているが、「千尋…」に限っていってしまえば、あの広告を毎週欠かさず見ると、大まかなストーリーが分かってしまうのだ。キャッチコピーだと思っていたものが、実は本編でキーとなる台詞だったりする。その一方で、
――イチロー首位打者、おめでとう。
――私もがんばってます。荻野千尋 (10月12日・東京朝日夕刊)
といった、映画のストーリーと関係ないようなキャッチが並んでいたり(興行成績に引っ掛けているのは周知の事実だが)…。
また、昼下がりや深夜帯に放送しているCMも、つなぎ合わせたらそこそこ話がわかってしまうのではないか。
あえて小出しにネタ晴らしをすることで、期待を増幅させようとするのか? 否、少しくらいネタ晴らししても本質的な部分はしっかり隠している。
これが本当の「神隠し」?
株価が1万1千円を割り、完全失業率が5%になる中、いかにしてイメージを崩さず政権維持をするかが政治力、いや宣伝力の見せどころ。
そんな中で発売される内閣総理大臣・小泉純一郎の写真集、その名もずばり
。
ブロマイド、サイン付きなどあらゆる特典に「量産型小泉ファン(=ミーハー)」が喜ぶこと必至、と申しますか、そういう人たちをターゲットにしていることが見え見えである。
しかし、なぜタイトルのの「i」が小文字なのだろうか? 「i(=自分)」を小さくすることで、国民のために頑張る総理を表現したいのか、あるいは改革のためなら失業者が増えても会社が倒産しても仕方がない、と「i(=愛)」を小さくする姿を表現しているのか…。
いずれにせよ、売上げの1%でもいいから、失業者の雇用対策費に当ててほしい。
自民党が60議席を越し、圧勝となった参院選。
しかし、翌日の株式市場は売り注文続き。バブル崩壊直後以来の最安値(日経平均)を記録した。市場や外国の機関投資家はこの圧勝を評価しなかったのか。
果たしてこのメンバーで「小泉改革」は本当に実現するのか。
またまた川柳・短歌で今回の選挙を振り返ってみたい。
徹底したイメージ作戦と情報操作で「熱狂的量産型小泉ファン」の増産に努めた結果がこれ。候補者も同じような言葉を連発して「言わざる」を貫く。しかし、開票してみたら業界団体の組織票で当選した議員も多く、これで本当に構造改革ができるのかは疑問。
しかし、小泉流構造改革が実行できたとしても、次に襲ってくるのは株価下落、連続企業倒産、失業…。小泉さんがカッコイイからと買ったポスターやストラップが少しずつ高いと感じてくると思う。
ちなみに「痛みを伴う」と言いつつも、議員の給料は月ン百万円近く。
生き残れ、生き残ろうよ、生き残りたい、老若男女(野坂昭如風に)。
こちらも組織票で議席を獲得した公明党。道路沿いの壁や窓ガラスに「日本アゲイン」のポスターを貼っている家を見ては、「あ、ここも学会か…」と思うことあり。
靖国参拝は反対の姿勢を表明しつつも、自民党と手を組まなければならないその辛さ。「セーフティーネット」を実現してほしい。
扇党首だけだった保守党の獲得議席。「私にもできます」が「私しかできない」になってしまった。
予算の最大消費セクション、国土交通省の要は果たして何を変えてくれるのか。本当に必要な場所に施設が作られず、利権を誘引させたところに立派なモノができる「病巣」にこの「ホスピタル」はどのような治療をするのか。
外科療法、化学療法、心理療法…いや、民間療法かもしれない。
タレントだと批判されつつも、誰よりも正論を語っていた「巨泉のクイズダービー」は41万票を稼いだ。
「動かない水は、澱(よど)む」とポスター。「小さな泉」の底にはまだまだ動かない水がある。しかし、その上に「大きな橋」を架けたり、その近くに「巨大な泉」を造ってみたものの、「小さな泉」の影響は少なかった。
この票の一部をカンガルー募金ならぬ「カンガルー投票」に回せばもう少し議席は増えていたはず。非拘束名簿式はやはり痛い。
どこかのプロパガンダのマネをして、ストラップを作ったのは正直痛かった。こういうセコいことは真似ないで、具体的政策を正面切って出してほしい。
「小泉改革」を断行すれば中小企業は倒産し、失業者が増える…そう警告して争ったが議席を大きく落としてしまった。むしろ「反小泉」は焼け石に水、ガンコに独自政策を語ったほうが良かったのだろうか。
「本当に怖いことは…」のCMが各テレビ局から放送禁止を食らって、インターネットに「放映先」を移して運動を展開するが議席は伸びず。政治家にとっていちばん「怖いこと」が起きてしまった。「9条護憲」以外の主張もしてほしかった。社会保障政策は旧社会党以来の得意技ではなかったのか。
「TVタックル」でおなじみの田嶋陽子教授が当選したが、同じ番組に出演する国際政治学者・舛添氏も自民党から当選しており、国会中継が「TVタックル」になる日も近い。
「男もパンツは自分で洗え!」が議事録に載るかもしれない。
「自民党がいいねと君が言ったから7月29日は投票に行こう」などという短歌(?)と例のごとくパターン化されたキャッチコピーで時間をやり過ごす自民党の政見。
到底「改革」をするとは思わない候補者の姿が次第に分かってくると得票率が落ちるから、とりあえずは小泉さんでイメージ先行・維持を目指す魂胆が丸見えだ。
あとで「入れるんじゃなかった!」と思わないためにも、よく考えて投票したいと思う。
猛暑といわれるこの頃、加えて湿気の高さで身体に倦怠感が漂う。
そんな中で保守党・扇党首のハスキーボイスを聞くと、妙にシャキッっとなる、と言いたいところだが、実際は耳が痛い。
音質においても、政策においても…。
民主党の政見。「会社社長(=スーベニアショップ「OKショップ」)」という肩書きに違和感を覚えつつも、過去の「クイズダービー」や「11PM」、「こんなモノいらない」といった名番組を思い出すにつれ、恋しくなるのが「司会は巨泉」。そして、「スーパータイム」の発音が懐かしい幸田シャーミン氏。
しかし、政見放送では司会ではなくコメンテーター側に。鳩山さんや菅さんを「喋らせる」方が役得だったと思う。政策を前面にアピールしてほしい。
テレビから一線を離れた人たちがこうした形で「復活」したことに、懐かしモノ好きは「倍率ドン、さらに倍」と静かに呟くが…。
まるで正月に放送される「芸能ヒットパレード」、もしくは「奇人変人大集合」のような政見放送だ。
この放送を見ているとまだまだ日本も捨てたものじゃない、と思うのだ(もうこの世も末だな、と思う方もいるか…)。ここまで個性の強い面々がいるのだから。誰もが「小泉さんの改革を支えます」とだけ叫んでいるどこかの政党に個性はあるのか。
「国会の報告はすべてマンガでやります」、「政治もプロレスも闘いです」、「青森(あぅぉむぉる)のば(ぶゎ)が(ぐゎ)者で終わるか、天下を取るか」、「やる気にさせます!」、「ドクター、ドクター、ドクター」…
ただ、忘れてはならないのは「参議院比例代表選出議員選挙」だ、ということ。「お笑いオンエアバトル」でない、と…。
番外。
「憲法はアメリカに押し付けられた」>でもハンコついたのは紛れもなく日本人だよ。
「正しい歴史を教える」>都合の悪いことを隠すのを正しい歴史とは呼ばないよ。
「金利を1%上げれば、日本の経済は回復する」>世界経済が混乱しないのですか。それ以前に日本企業が倒産するのでは。
…と時代遅れかつ、自国のことしか考えていない政策を謳っていると思わずにいられない「維新政党・新風」の政見。
化石に含まれた遺伝子から作り出された恐竜が騒動を起こし、人々が逃げ惑う映画「ジュラシックパーク」のワンシーンのように、戦前の遺伝子を現代に生き返らせても環境は受け入れない。
ただ、主張する自由は誰も冒すことはできない。
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