最近のイチ押し ダメ出し / No.4003 / 1999.9公開 2012.11補遺 | |||
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最近のイチ押し ダメ出し 4003 1985 世界の料理ショー1985年3月XX日 世界の料理ショーという番組を初めて観たのは1985年でした。この番組は1968年から1971年にかけてカナダCBCで制作されたもので(原題はThe Galloping Gourmet)、料理研究家グラハム・カーがスタジオで観客を前にしてギャグやジョークを織り交ぜた話をしながら料理を作っていく内容でした。「世界の料理ショー」というだけあって世界各地のテレビ局で放送していますが、日本でも1971年代から1974年に本放送を、以後再放送を1986年頃までテレビ東京系列で放送していました。時間帯は深夜だったり、土曜の夕方になったり、平日の12時頃になったり、2・3ヶ月放送してしばらく休止したりと不安定な放送形態を取っていました。外国輸入の再放送番組は大抵こんなモノです。 内容はほとんどパターン化されており、
・Ry Cooderの「Shine」のイントロをBGMに日本語版のタイトルバックと提供が流れる。 の流れで番組プログラムは進んでいきます。日本でいえば堺正章氏が出演している「チューボーですよ(TBS系)」に近い作りといえるでしょうか。 私が小学生のころに観たこの番組は今でも強く印象に残っています。紹介される料理のどれもが当時の日本の家庭で作れるものではない点に、滑稽さを覚えたわけです。たとえば、「若鶏のトリュフ詰めパリ風」という料理を紹介されても、トリュフは入手不可能ではまず作れません。「ウサギのロースト」も日本にはウサギを食べる習慣はあまりないから、作り方を見せても「誰が作るか、こんなモノ!」と思ってしまいます。 それでも観てしまうのは、正直、面白いからです。ウサギ料理が取り上げるたびにカーが「お行儀の悪いウサギちゃんだこと」などといって、皮を剥がれたウサギの耳を持っては振り回したりと、かなり過激なショーを披露します。NHKの「きょうの料理」やNTVの「ごちそうさま」など実用的かつ「日本的塩辛い食生活改善」的な番組とは性格もスタイルも違う内容に「食い物で遊ぶとはけしからん」という意見もありましたが、料理番組というよりはむしろ「奥様は魔女」や「ルーシーショー」といった外国モノのコメディ番組と同類項で観ていたことの方が多かったと思います。 日本でも「料理の鉄人」を皮切りに、「どっちの料理ショー」や「SMAP×SMAP」のワンコーナーなど料理でエンターテインメントする番組が続々登場してきましたが、これらの元ネタとして「世界の料理ショー」があることは確かです。ただ、カーのようにジョークのきいたトークを放つ芸能人がいないのが残念です。どの番組を見ても「うわぁ、うまそう」、「舌がとろけそう」などの常套句しか聞こえないですよね。薬味のように「おとなのジョーク」を使いこなせる芸能人も少ないですね。 現在でもグラハム・カーは健在(1999年現在)で、当時のこってり料理から、低脂肪を重視した料理の研究をするようになりました。カーのWebページなどというものもありますので、こちらも参考にしてみてください。時代の変化というものをここで感じることができるかと思います。 脚注
レシピ紹介の音楽は「The Smothers Brothers Comedy Hour」というコメディ番組のテーマとして使われたものだそうです。ちなみにこの部分は日本語版だけに用意されているものです。
放送初期の「Galloping Gourmet」は、グラハム・カーが登場するときのアクションが控えめだったり、オープニング・エンディングのテーマ音楽が異なっているなどの違いが見られます。初期のテーマ音楽は再放送版では別の曲に差し替えられています。
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