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 パソコンサンデー

1983年XX月

 ほとんどの方はこのページをパソコンでご覧になっているかと思います。インターネット商用利用開始とWindows95発売開始が連続的に到来して以来、一般家庭でも急速にパソコンが普及し、「パソコンブーム」などということばも出現しました。アメリカに追随するように情報化社会への道をたどる日本では、今や冷蔵庫や電子レンジと並んで、パソコンはなくてはならない生活必需品になっています。

 さて、時は溯り1980年代前半。1995年ほどではないですが、この頃にも「パソコンブーム」はありました。各電機メーカーが家庭用コンピュータを初めて売り出し、積極的な広告活動をしたことがきっかけです。NECのPC8000シリーズ、富士通のFMシリーズ、シャープのMZシリーズなど、メーカー独自の仕様で開発されたこれらのコンピュータは現在でも一部のパソコンマニアの間で語り草になっています。

 ここで思い出すのが、シャープ提供のパソコン番組、「パソコンサンデー」です。パソコンサンデーは、1982年から1986年頃までテレビ大阪で制作され、テレビ東京でも朝の9時頃に放送されていた番組です。司会には大和田獏(その後、小倉智昭)が、アシスタントには白石まるみが起用されていました。

 この番組、当時としてはかなり画期的な番組手法が展開されていました。特に二カ国語放送で使う副音声バンドを使って音声化したプログラムデータを流す試みは「データ放送の元祖」ということで特筆に価するかと思います。
 放送開始10分後あたりで副音声バンドに録音ガイドが流れると、テレビイヤホンジャックとテープレコーダをつなげて、カセットテープなどにプログラムデータ音声(モデムを使ってダイヤルアップ接続をするときのネゴシエーションのような音がする)を録音するわけです。
 当時のパソコンは、テープレコーダを外部記憶装置として利用するための接続端子が標準で付いていました。もっとも、フロッピーディスクも高価、マシン搭載のRAMが128KB(128MBではない)の時代の話です。現在ならば番組のWebにアクセスしてデータをゲットする手法をとるでしょうが、当時としてはこれが精一杯のデータ配信方法だったわけです。

 また、視聴者が作成したBASICプログラムを「Dr.パソコン」に評価してもらうコーナーなどもありました。「構文が長すぎて重い。サブルーチンを使え」などとかなり辛口な批評が展開されていた記憶がありますが、インタラクティブ性という視点でこの番組を見るならば、かなり評価すべき点があるように思います。

 そして極めつけは、電波新聞社の「マイコンBASICマガジン」などに記事を書いていたゲーム評論家、山下章氏によるRPG(ロールプレイングゲーム)やアドベンチャーゲームの攻略法紹介です。『ロマンシア』や『ザナドゥ』などのゲームをひたすらテレビ画面いっぱいに映し出しては攻略ポイントを解説していました。テレビのスピーカからはゲームのBGMと同時に激しいキーボードの打音が聞こえているのが印象に残っています。

 この番組を観ていると、「パソコン(しかもシャープ製の)を知っている人には有益な情報なのだけれど、それ以外の人が見ても何が何だか分からないんだろうな」と常々思ったものです。同じホビー系番組でもフィッシング番組やゴルフ番組と違う、なぜか他者をよせつけない雰囲気を醸し出していたことは確かです。

 さらに印象的なのが番組冒頭で流れるテーマ音楽です。電子楽器を用いたエレクトロポップ風の音楽は「パソコン番組」の雰囲気を構成するのに一役買ったと考えられます。
 番組開始当初からしばらくは、1980年代前半に東北地方を活動拠点にしていたグループ「姫神せんせいしょん」が演奏する「Gun-Do」(曲名の由来は岩手県内にある「岩洞湖」とのこと)が起用され、終盤期は"Jeff Newmann and His orchestra"演奏の"POSITIVE FORCE"が使われました。
 後者の"POSITIVE FORCE"は現在でもテレビ朝日系列で放送されている「朝まで生テレビ」のオープニングテーマ曲として使われています。

 「パソコンサンデー」以後もテレビ東京ではコンピュータに関連した番組を放送していましたが、すぐに打ち切りになっています。中でも印象的なのは、1995年頃、慶應大の村井純教授が出演していた「インターネット・エキスプレス」。アメリカの少年がバリバリHTMLを叩いている映像に感動を覚えたのも束の間、アシスタントの女性が「それではまた来週」と画面に向かって手を振っておきながら、来週以降の放送は打ち切りになるという、まれにみる劇的な終わり方をした番組でした。

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