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 愛と欲の前を立ちはだかる数億の細菌群考

1999年7月20日

 厚生省は、10代を中心に「しもの病」が流行していることをついに明らかにしました。「しも」とはV.D、ずばり「性病」のことです。

 クラミジア、淋病、ヘルペス、コンジローム…聞くだけで身体が痒くなってくる病名ですが、それらの病気に10代のガキどもが罹患しているとのことで、前年度の6〜8割も増えているといいます。

 さすがは厚生省、毎度のことながら事態が深刻になってから世間に公表します。当然、公表している数は「もしや…」と病院に行った際に性病だと診断された人の数なので、実際の「保菌者」はその数倍と考えることができます。
 一部の性病には潜伏期の自覚症状が出ませんから、知らず知らずのうちに感染が広がっている危険性もあります。いっそ、全国の中学や高校で尿検査と同時に性病感染検査を実施してはどうかと考えたくもなります。とはいっても、いきなり保健室の先生に「○○くん、ちょっとお話が…」と呼び出されて「淋菌検査で陽性が…」と言われたらかなりショックに違いありません。ナニで感染したかが即座に判明してしまうわけですから、プライバシー保護の観点からすれば現実的ではありません。

  (筆者註:性病の一部には身体の抵抗力が落ちているときにかかるものもあります。)

 ただ、人間の生殖に直接関係する病気なので、症状が悪化すると不妊などの後遺症を引き起こす原因になります。以前から日本では梅毒や淋病の蔓延を「国家存亡の危機」と位置づけて徹底的な予防対策を行なってきたのですが、意外なところに盲点がありました。10代のガキどもは「まさかこんな病気にかかるまい」とノーマークだったのでしょうか。むしろ「将来、母親や父親となるであろう人たち」なのだから重点的に、徹底的な初期治療、予防策を実施すべきだと考えます。

 けれども、このような話題が出たからといって「買春防止法の罰則をもっと強化させて、援助交際などをやっているオヤジどもを叩き潰せ」という短絡的考えに走ってはダメです。カネを出して買うオヤジが逮捕されると新聞やテレビで大騒ぎするので、こういう奴が多そうに思って先ほどのような「対策」を考えてくる場合があるのですが、カネで買ったオヤジを罰することはできても病気は防げません。むしろ自由恋愛の名のもとに到る行為の際の不準備等で罹患する割合の方が格段に多いはずです(言い回しをすごく冗長にしました…)。いま必要なのは「その手の『行為』が及ぼす『リスク』を再認識する(させる)こと。そしてリスクの回避方法、危機管理方法を徹底的に認識する(させる)こと」ではないでしょうか。「妊娠する(させる)こと」をリスクとする考え方が蔓延しすぎて、主となるリスクであるエイズ、性病(性感染症)や子宮頚癌などについては広く伝わっていないのが現状です。

 もっとも、すぐにそのような行為に至ってしまう人間関係や倫理の問題、さらにはそれを創り出した社会にもフィードバックされる問題であることは確かですが、それはまた別の機会にお話したいと思います。

 最近、「自分の身体だもの、何をしようが自分の勝手じゃない。他人に迷惑かけてないでしょ!」と言い放つ台詞が流行っていますが、相次ぐ危機的事態を思いつつ反論。「人間はそこに存在しているだけで他人に迷惑をかけているんだ!」。「迷惑をかけていない」ではなく「迷惑をかけている」を前提にしてすすめる話は数多くあります。もちろん、今回のテーマも同様です。

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