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 ピタゴラスイッチのデシャヴュ

デシャヴュ…一度も経験したことがないのに、すでにどこかで経験したことがあるように感じること。既視感。(小学館「大辞泉」より)

 休みを取ったある日、NHK教育テレビにチャンネルを合わせたところ、なにやらわけのわからない番組が放送されており、思わず見入ってしまいました。
 その番組の名前は「ピタゴラスイッチ」。昨年の春から放送されている、対象年齢3歳〜6歳の幼児向けの番組ですが、見てみるとなかなか面白いもので今までどうして気づかなかったのかと悔やみます。

 番組Webサイトによると、ものごとの法則をとらえ、「考え方」を養うために、身近にある機械や気象を例にとってそれらの「法則」を幼児に分かりやすく教えるのが趣旨だそうです。このように書くといかにも教育テレビらしいプログラムになってしまいますが、私が幼児期に観ていた、短時間にアニメーションや人形を使ってモノの名前や数え方などの知識をひたすら叩き込む、といった「高度経済成長期型詰め込み教育的な幼児番組」とは趣きが異なり、観る側に「考える余地」を持たせているのが興味深いところです。
 幼児向け番組を見ていると、その時代に必要としている能力が理解できます。

 さて、この番組をいい歳こいた人が観ていると、あらゆる箇所で冒頭に書いた「デシャヴュ」を感じることができます。

 まずは番組全体に流れる雰囲気。1974年〜1978年頃に日本テレビ系列で放送された「カリキュラマシーン」のはじけぶりを思い出す方も多いのではないでしょうか。
 次にキャラクター。数年前にテレビCMで見たことのあるテイストです。調べてみると番組監修は佐藤雅彦氏。電通時代に湖池屋「ジャガッツ」や「ポリンキー」、JR東日本「正解は15秒後」、NEC「バザールでござーる」などの名作CMの制作、「だんご3兄弟」などのキャラクターデザインを手がけ、現在は慶応大学環境情報学部で教鞭をとっている方です。

 見た目は平面的なのだけれど人間的な個性を付加することであたかも生き物のような印象を持たせるキャラクターと、パズルのピース一片をつまんでは当てはめていくうちに全体像が現れてくるコーナー展開は、佐藤氏ならではの発想が存分に出ているように思えます。

 そしてエンディングに流れる「アルゴリズム体操」。コント「悲しいとき」でおなじみの「いつもここから」が歌っています。コンピュータサイエンスにおける教育原理のレジュメを読むと、数理的原理を身体で理解しようというコンセプトが含まれているそうですが、映像を見るとじつにシュールです。

 数百人の高校生が校庭で一糸乱れずこの「アルゴリズム体操」をしている光景はテクノ的無機質感に満ちあふれていて圧巻です。が、しばらく見ていると「いけないものを見てしまった」という羞恥心が襲ってきます。運動会の父母親戚が見ている中でマスゲームや神楽を踊らされたときの、胸を締めつけられるような恥ずかしさに似たものを感じます。
 もし私が16、7歳の年頃で「アルゴリズム体操をしろ」と言われたら、正直あそこまでできるかどうか…。よくやったと思いますよ、本当に。
 余談ながら撮影場所は埼玉県さいたま市桜区(旧浦和市)のとある高校。荒川土手を近くに望む、自然を身近に感じられる「知る人ぞ知る」ところです。近隣を知る私にとっては10年前と周辺の風景がまったく変わっていないことにも多少の感動を覚えました。

 百聞は一見にしかず。この不可思議な番組をぜひともご覧くださいませ。

関連サイト

NHKオンライン
ピタゴラスイッチ
慶応大ハイテクリサーチプロジェクト
佐藤雅彦『コンピュータサイエンスにおける教育原理』
ワーナーミュージックジャパン
いつもここから「アルゴリズムたいそう」
「アルゴリズムたいそう」(amazon経由)
埼玉県立浦和北高等学校
アルゴリズム体操 放映時間表

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