STIJ Project Logo -
-
- STIJ News 現代飲料考 月刊 看板
巷の風景 My Trip私の旅 STIJ Projectについて 近隣諸網
トップページへ 現代風景研究会のBlogへ -
1990夏 蕨〜高崎 路線バスを乗り継ぐ-2
  関連ページ
Diary of Trip
Webでする旅
SMILin' the Trip

 1日だけの小さな旅から、数日がかりの旅まで、日記風に描く旅行記です。
今回は1990年8月に蕨駅〜高崎駅間を路線バスで乗り継いだときの記録です。


↑懐かしい幕式運賃表示機イメージ

戻る 目次 次へ
市民会館前(6:48)→上尾駅東口(7:30)
浦33・上尾車庫行き 東武バス 250円

 この系統のバスは発車場所がややこしい。平日の昼間は県庁前から発車するが、休日の昼間になると、一つ手前の道路にある臨時停留所から発車する。ちなみに朝は県庁前発車ではなく、浦和駅から発車する。
 確実に乗れる場所でバスを待とうということになり、平日ならば必ず停車する市民会館前停留所で待つ。浦和駅から市民会館前停留所までは徒歩5分だ。

 市民会館前の停留所案内板は、普段見かける案内板と異なり丸太を組み上げたものだ。周辺の景観に配慮しているのだろうか。時刻表を表示する部分が平面に切ってあり「大崎園芸植物園行」とか「さぎ山記念公園行」など各路線の時刻が書かれている。私たちが乗ろうとしている上尾車庫行きは6時48分。しばらく時間がある。
 あたりを見回すと1匹の犬がウロウロしていて怖い。鑑札はついており、家から逃げ出し迷ったと思われる。

 上尾車庫行がやって来た。車体は新しく座席のシートもアズキ色と黒のチェック模様だが、シートが小さい上に、クッションが薄くすわり心地がなんとも固い。しかし、早朝だけあって旧中山道を飛ばしていく。氷川参道の横を抜け、20分足らずで大宮駅東口の大一ビル前に到着した。
 大宮駅で10分ほど停車し、時間の調整をする。ここからはかなりの乗客が乗ってきた。浦和から大宮までの間、私とE君の2人しか乗っていなかった。

 今まで止めていたエンジンが力強く動きだし、再び中山道を走る。JRと東武野田線のガードの下をくぐると富士重工の工場が見える。ブルーの高い煙突には「スバル」の文字が見える。工場前停留所に止まった。先ほど大宮駅から乗ってきた客の大半がここで降りた。私らはまだまだ先へ行く。

 岩槻方面へ行く交差点を過ぎると道幅が少し狭くなった。バスは庭付き一戸建て住宅の密集地帯を走る。白樺通り入口停留所付近には「キンチョール」や「アース渦巻」の錆び付いたホーロー看板が見える。この看板が見え始めると東京も遠くになりにけり。

 浦和から42分で上尾駅に到着。E君の予想では「上尾まで1時間はかかる」と言っていたが、10分以上も早く到着してしまった。
 蕨から28キロ。終点まではまだ100キロ以上もある。

上尾駅西口(7:50)→鴻巣駅(8:25)
鴻03 運転免許センター行き 東武バス 車号6487 270円

 乗り場に向かうと、運転免許センター行きのバスは発車の20分前から止まっていた。車内に乗り込むと、バス独特の臭いがいつもよりもきつい。消毒記録票を見るとナカゾールという消毒剤をつい最近ふりかけたらしいことが分かるが、果たしてこの消毒剤の臭いなのだろうか。車体の天井が低く圧迫感がある。かなり古い車体に思える。

 発車の5分前になって運転士が乗ってきた。昔のカラオケ再生機で使われていたアナウンス用の8トラックテープをアナウンス装置に入れる。「このテープは…」とデモンストレーションが流れる。その後運転士は速度計の上にある鍵をクルッと回しメーターを上げた。何を始めるのかと凝視すると、レバーを左右に動かし、メーターの中にセットされている丸い紙をセットしなおした。タコグラフと呼ばれるもので、時間と速度を記録する装置だということが分かった。

 8時25分、定刻に上尾駅を発車する。中山道を横切り細道を通る。ここはどこだ。
しばらく走っていくと団地の中に入った。団地内のバス停を誰も乗せずに過ぎるとUターンなんぞをして再び中山道に出る。団地回りのバスなのである。団地内を経由するバスに乗っていると、なんだか他人の家の庭に踏み込んだような感覚を持ち、乗っているこちらの方が申し訳ない気持ちになる。
 再び国道17号線を渋滞もなく順調に流ると、30分ほどで鴻巣駅に着いた。

鴻巣駅(8:40)→東松山駅(9:10)
東松02 東松山駅行き 東武バス 340円

 鴻巣駅前のバス停に着いたものの、次に乗る東松山駅行きのバス乗り場が見当たらない。近くの店の人に聞くと駅の前から発車しているという。歩いて2分位で東松山行きのバス停が見つかった。
 まだバスが来ていないので近くのトイレで用を足すが、臭いもきつい、なんとも汚い便所だ。こうした便所に出くわすと、なぜか一瞬だけ尿意が止まる。
 約15分後、東松山行きが来た。さっそく乗り込むと「整理券をおとりください」とのアナウンス。整理券を取ったら2区間目であった。行先表示を見たら「鴻巣車庫」から来ているということがわかった。

 JR高崎線の踏切を渡ろうとするが、自転車の通りが激しいので何度もクラクションを鳴らす。踏切を渡り終えると長い真っすぐな道が続く。バスは荒川へ渡ろうとしている。
 名前は忘れてしまったが、とある停留所のそばに食料品店がある。ちょうど赤信号でこの店の前に止まったが、木造の何とも懐かしさ漂う店である。ガラス戸に「グリコヨーレル」という懐かしい名前のアイスクリームのシールが貼ってあった。以前、「ヨーレル」だけでなく、しゃりしゃりした氷が入った「クルール」というアイスもあったと思い出してみる。

 バスは荒川を渡る。橋を渡る前、E君と「昨日は台風だから川が氾濫しているんじゃない?」と話していたところであった。だが、川は土色をしてはいたが、想像ほど流れは急ではなかった。
 荒川を渡ると東松山市に。名勝吉見百穴のある百穴前停留所を通過する。幼児の頃、親に連れられ出かけた薄い記憶を思い出す。
 歩道が整備された東松山駅前通りを抜けると、東松山駅に到着。
鴻巣からの所要は30分、蕨からの距離は45キロ。先は長い。

東松山駅(9:16)→熊谷駅(9:55)
東松01 熊谷駅行き 東武バス 450円

 東松山からは6分の接続。熊谷行きバスに急いで乗り換えると、車内にはかなりの人が乗っていた。立ち席覚悟と吊り革につかまっていると空席を発見。E君と座る。
 着席してから約3分後に発車。運賃表示機は今までの6区間×4段の24区運賃表示機ではなく、10区間×4段の40区運賃表示機を搭載していた。いずれもデジタル式だ。ちなみに運賃表示機は横軸上段から整理券なし・1・2・3・4・5…と整理券番号の数字が並び、その下に運賃を表示する7セグパネルが並ぶ。

 私は子供の頃から運賃表示機の動きに興味を覚えていた。乗り進めているうちに運賃の書かれた幕がガーッと上がっていく姿に距離を感じる。バス会社や路線によって表示機の形にバリエーションがあって、短距離路線用の車両には区間数の少ないものが、長距離路線には区間数の多いものが搭載されていることがほとんどだ。運賃表のマス目に運賃がびっしり並んだものを見ると結構興奮するものだ。自分がまだ行ったことのない場所から走ってきたことが、表示機を見ることで理解できるからだ。

 バス停ごとに一人二人乗せていく。降りる人がいない。車内はかなり混雑してきた。  とある交差点で止まると、車窓右側に長蛇の列が見える。図書館で学生たちが場所取りのため開館の1時間前から並んでいるのである。夏場、蒸し暑い部屋で勉強したところで、はかどるわけない。冷房のきいている涼しい所を求めに朝早くから並んでいる。行列を見ると自宅に帰ったらまた勉強を始めなくては、と現実に戻される。

 バスは国道407号線を北上する。森林公園北口を抜け、熊谷東松山道路と交差すると荒川大橋を渡る。上熊谷駅の跨線橋を抜ければ熊谷駅に到着。時間は10時前だ。

戻る 目次 次へ

コンテンツ内の音声、およびSMILをご覧になる際はRealPlayerが必要です。

ダウンロードはこちらへ→

このコンテンツの著作権は、STIJ Projectに帰属します。記載内容の部分利用は必ず本人の許可の上、お願いいたします。

dummy

[STIJ News] [月刊看板] [現代飲料考] [巷の風景] [My Trip]
[Stij Projectについて] [近隣諸網] [Blog] [to Toppage]
当サイト掲載の文書・画像・音声等の無断転載を禁じます。
dummy
dummy