My Trip/ 冬の東北ローカル線紀行-4 / 03.02開設 | |||||||||||||||||||||||||
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1日だけの小さな旅から、数日がかりの旅まで、日記風に描く旅行記です。 1月27日(月)天気 岩手:雪
遠野(9:00)→花巻・平泉・一ノ関→大宮(17:34)
7時30分、目が覚めると喉がいがらっぽく、空咳も出ます。昨晩、石油ファンヒータをつけっ放しにして寝たのが原因かと思いつつ床から起き上がります。 昨日に続いてご主人としばらくだべりながら、今日の予定を考えます。夕方に帰ることを目標に、時刻表を繰り、11時過ぎの快速で遠野を発ち、平泉へ立ち寄るコースにします。帰り道は無理をせず、いつも出かけている場所を寄るのが私の旅程です。
「市内を回るならうちの自転車使ってきなよ。荷物は預かってるから」 …の街を自転車に乗り… 駅前でつるはしで凍った雪を砕く風景を眺め、昨晩歩いた親不孝通りを抜けていきます。やはり朝だけあり、しんと静まり返っています。釜石線と交差する歩道橋を渡り、材木町、下早瀬橋、大工町、一日市通りを抜け市民センターへ。今日は月曜で市立博物館と図書館は休館。向かいのあえりあ遠野の立派な建物を拝み、南部神社へ。 神社に向かう急な勾配の階段には雪が積もり、前人の足あとを踏みながら登っていきます。賽銭箱の横に「お参りのしかた」が書かれたボードがあり、覗き込んでみます。祝詞の内容まで書いてあって、ずいぶんと細かく書いてあるものだと感じます。市街地を一望できる鍋倉城址まで行きたかったのですが、いかにせよ雪が深く、断念。 再び自転車を走らせ来内川沿いを走ります。94年に発見した柳玄寺近くの木造橋は健在でしたが、欄干や柵の部分が改修されており、当時の雰囲気は薄れてしまいました。それでも市街地で見られる数少ない木造橋のひとつとして残しているのは嬉しいものです。寺町の雰囲気をできる限り壊さない配慮がなされているわけです。おそらく他の街であれば、橋げたごと改修して立派なコンクリート橋を立ててしまうのでしょう。 「広報とおの」の楽しみ
国道283号沿いを少し走ったところで市役所にたどり着きます。市役所での楽しみは、市報「広報とおの」をもらいに行くこと。商工観光課にはちょうど11月号〜1月号のバックナンバーがあり、それを頂戴します。
私は外出先や旅先でさまざまな自治体広報紙を手にとり読んでいますが、広報に力を入れている街には底知れぬ活気があるように感じます。実際に街中を歩いていても、その活気が伝わってくることがあります。
1.行政がどのようなサービスを提供しているのか が分かりやすく、時には楽しく書いてあればいいのだと感じます。 「広報とおの」の場合、市外の者が読んでも充分に楽しめますが、これは紙面の7割近くを「2.住民がどのような生活を営んでいるのか」に割いており、しかも幅広い年齢層を取り上げている点にあります。そればかりではなく、読んでいると文字でありながら「街の匂い」が伝わってくるところにもあると思います。 一方、都心に近づけば近づくほど、紙面の内容は「1.行政がどのようなサービスを提供しているのか」で埋め尽くされるようになり、東京23区の広報になると、ほとんどリクルートの情報誌を見ているように味気なくなってしまいます。 …と文章にしようと考えていたところで、庁舎ロビーにWeb閲覧ができるPCを発見しました。気象情報や列車運転状況を確認してみます。
ついでにえきねっとで帰りの新幹線の指定券を予約してみます。PCを操作していると、ベンチに座っていた爺さんが
「自転車ありがとうございました。そろそろ列車の時間なので出発します。一晩でしたがいろいろとお世話になりました」
11時27分、快速「はまゆり4号」は少しこもったエンジン音を立てて発車します。今度はいつ行けるだろうと思いつつ、曇ったガラスを手でこすって、小さくなっていくホームを見つめてみます。 雪の浄土庭園
12時21分、花巻到着。さらに東北本線を上っていきます。北上山地から離れると多少雪の降りは穏やかになるようで、
と空模様が変化していきます。13時半に平泉を降り立つと、ほとんど雨で傘をささなくては歩くことができません。
駅前の一本道を歩き、毛越寺へ。過去にYHへ泊まりったりと、このお寺には機会があるたび足を運んでいます。今回は雪景色の浄土庭園を見たくなりました。
いよいよ浄土庭園へ。言わずもがな、一面真っ白です。2001年秋の風景と較べて見ると分かりますが、池の上にも降り積もり、そのまま歩いても大丈夫そうな感覚に襲われます。
一昨日より腹の調子が悪く、さらに喉が痛いことも重なり、あまり重い食事に手が延びません。平泉駅待合室の「軽食堂」でかけそばを注文し、それをすすると荒れた喉に引っかかり、むせます。苦しい。かといってそばをすすらないで食べるほど味気ないものもなく、むせ返らないようにペースを落としてすすります。
この観光案内板、花巻から花巻温泉に至る私鉄線路(花巻電鉄)が時代を語ってくれます。遠野が観光地として記載されておらず、盛んに宣伝が行なわれた国鉄の「ディスカバージャパン」キャンペーン以前の物件と推測されます。 ハプニング
冬のオフシーズンにめぐっていったこの旅もそろそろ終わりです。一ノ関から「Maxやまびこ60号」で帰宅の途へつきます。
17時34分、大宮に定刻到着。列車を降りると 後日談 帰宅した翌日、案の定38度近くの高熱を出し、医者でインフルエンザの診断を受けました。体調を回復するのに1月末までかかりました。旅の途中、至るところで体調が思わしくなかったのですが、やはり前兆というものはあります。
3泊4日の移動型旅行でした。移りゆく風景を見ながら、はじめは白いだけだと思っていた雪景色にも、さまざまな「色」があることに気づきました。 YHやビジネスホテル以外の宿にも楽しみがあることを発見します。湯治自炊宿や民宿などは人との交流が楽しめますし、何よりも料金が安いです。素泊まりにして、街中の料理店に入るのもなかなか楽しめます。ただ、気をつけたいのは風呂あがりの「活性原酒」です。 さて、1日目に出会った只見線の高校生ですが、1ヶ月経った現在でもメールのやり取りは続いています。自宅が遠方にあるため、寮から通っており、毎日片道1時間を只見線の車内で過ごしています。寮でのできごとや悩みごとを送ってくると、他人事とは思えず、10数年前の自分を思い出しながら返事を書いていたりします。 久しぶりにいろいろな人と出会うことのできた旅でした。 →旅行費用:6万前後(交通費・宿泊・現地滞在費全て含む)
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