STIJ Project Logo -
-
- STIJ News 現代飲料考 月刊 看板
巷の風景 My Trip私の旅 STIJ Projectについて 近隣諸網
トップページへ 現代風景研究会のBlogへ -

記憶の彼方に漂う飲料 2

  関連ページ
もくじ
記憶の彼方に漂う飲料
飲料情報、津々浦々
不定期ドリンクリポート
関連サイト
■試飲コーナー
スプライト レモンライムソーダ
これはお得なインポート品。
レモンとライムでライモンなんて懐かしいフレーズがありました。
■試飲コーナー
三ツ矢サイダー
基本に忠実。だからおいしい。
まとめて買えばそれなりにお得。
■試飲コーナー
キリンレモン
ロングセラーゆえの安定したテイスト。
飲みたい前に、まとめ買いして冷蔵庫にストックしておけば吉。
■試飲コーナー
チェリーコーク
いまも健在。ZAAP!ひとくち飲んだらあの頃の記憶がよみがえってくるかもしれません。
■試飲コーナー
バービカン
まだまだ健在!たまに飲みたい一本。

〜カプリソーネ、アンバサを追え〜

 現在では消えた飲料の話をしていると結構場が盛り上がることがあります。そんな中で、再び消えた飲料を思い起こしてみました。前回に続いて消えた飲料を紹介してみたいと思います。

007 チェリーコーク

 日本国内では1985年7月頃から発売された、知る人ぞ知る、あのチェリーコークである。
 当時、CMは小林克也の人形がニュースキャスターを演ずるシーンが映し出され、
  新発売のチェリーコークはGood taste! RichでUnique!
  Cute! Pop! Funky! Wild! Crazy!

…と考えられる限りの英語感嘆詞を並べたところで『チェリーなコトしたい!』と叫び、そのあとコップに「コクコクコクッ」とコーラが注がれるカット。そして『ZAAP!』(意不明)というセリフ、というビジュアルだった。

 私はそのCMの、コーラが注がれるカットのシズル感にまんまと引っかかり、つい買って飲んだことがあるが、とにかく好かない。なんというのか、酸っぱいような甘いような。梅ソーダのコーラ版、と言った感じだ。それでも売る側は必死だったから宣伝はかなり大々的にやっていた。そういえば「ビンゴカード」なんていうものをコーラの瓶におまけ風に付けて、10円玉でこすると、チェリーのマークが何個か揃えば景品がもらえる…などといういつものキャンペーンをやっていた記憶がある。

 かのマイクロソフトのビル・ゲイツ氏も大好きな飲料だそうで、米国では現在も発売しているという。日本ではインポートマートなどで入手できるようになった。

008 三ツ矢サイダーライト

 これも1985年頃。ダイエットブームが日本中を駆け回り、カロリー表示のある食品に、人気が出た。一方、飲料業界でもこのブームに乗らないテはない、とみて、コーラに砂糖を含まず、フェニルアラニン化合物の一種、アスパルテームを甘味料に使用した「コカコーラライト」が発売された。後に「ダイエットコーク」も発売されることとなるが双方の違いはいったい何なのだろうか。

 それと同じ頃に三ツ矢サイダーもライトタイプを登場させた。
 「コカコーラライト」と同様、砂糖を含まない、アスパルテーム(味の素の製品、「パルスイート」に使われる人工甘味料)使用のサイダーで、カロリーは1キロカロリー未満。

 発売当時、この甘味料を使った飲み物は、味があまり良くなく、売れ行きが悪かったのだろう。今では姿を消している。また、フェニルアラニン化合物は遺伝病のひとつであるフェニルケトン尿症の患者に身体上の影響を及ぼすため、当時の新聞広告には隅に小さく「フェニルケトン尿症の方は飲用を控えてください」との注意書きが加えられていた。
 ちなみに、三ツ矢サイダーには「シルバー缶」と「レッド缶」があった。聞いたところによると、シルバーはいつも飲んでいるフツーのサイダー。問題のレッドはグレープ味の「三ツ矢グレープ」らしい。

 以前、コンビニエンスストアに行って、三ツ矢サイダーのニューボトルを見た。すると赤いラベル…ん、レッド缶の復活か? と思いつつ見たが、ラズベリーであった。一時期、広末涼子がCMに出場(出演ではない)して盛んにPRしていた。

009 キリンレモン2101

 これは昭和60年頃。当時流行した、300ミリのガラス瓶にブルーの涼しいラベルが貼ってあった。

 「青いキリンレモン」の名で、あの頃は坂本弁護士もオウムも職員の痴漢も、ディレクターの不倫も噂になかった「報道のTBS」こと東京放送の「ザ・ベストテン」の時間帯に、「サリー」が歌う「バージンブルー」をBGMにしたCMを流していた。原田知世や新田恵利が出演しているヴァージョンもあった。新田恵利バージョンは「ニューカレドニア旅行プレゼント」の懸賞付きだった。

 キリンレモンに関連して余談を。キリンビールでは一時期、立体CMを流したことがあった。昭和60年に開催された科学万博の影響であろう。「キリン・メッツ」の立体CMを見るには、青白の立体メガネを掛けなければならなかった。スーパーや酒屋などに置いてあったようだが、品切れだったことが多く立体メガネはキャンペーンの懸賞品として用意されていたが、懸賞に当たらなかった人は、科学博の某パビリオンで貰った物を使って見たという。あまり立体的に見えなかった気がした。

010 天空の城ラピュタ

 「トトロ」と「もののけ姫」、そして「千と千尋の神隠し」で日本映画界に旋風を巻き起こしている宮崎駿監督のアニメーション映画作品の名前をそっくり使用している。発売は映画公開の1986年頃。まさしくタイアップ商品である。この飲料の発売元は味の素株式会社。初め、私は「アノ化学調味料の会社が飲み物を…」と不思議に思った。味はレモン&ライムともう一つは不明。

 缶は確か250ミリでキャラクターの絵が載っていたと思う。CMソングは小幡洋子の「もしも空を飛べたら」。飲料の方はさておき、歌のほうはあまりうまくなかった。ちなみに、この「ラピュタ」のレモン味とたらこのおにぎりを一緒に食べると非常にまずいとの情報がある。
 映画終了と共に発売も終わったようだ。

追加情報(2003.6)

 もう一つのテイストは「シトラスミックス」との情報をいただきました。
 ご提供いただいた方のコメントに「小学生の私は、シトラスとは何ぞやときになってしょうがなく記憶に残ってます。」とありました。ちなみにシトラス(citrus)は「柑橘系の植物」という意味だそうです。

011 ニュースプライト

 コカ・コーラボトリングから発売されたスプライトはサイダーの類に入ると思われるが、味を見ると、サイダーよりは清涼感があると思う。
 平成2年(1990年)、ライムとレモンの合成造語、「ライモン」味の「ニュー・スプライト」が発売された。果たして、スプライトが淘汰されるのか、それともニューの方が消えるのかとしばらく観察していたら、やはりニューの方が消えた。

 その後「スプライトクール」という微炭酸のスプライトが発売されたが、個人的には、サイダー系の飲料はやっぱり炭酸がキツくないと飲んだ気がしない。オーソドックスなスタイルのままでも支持が高いサイダー飲料では冒険しない方がいい、という飲料業界筋の話をちらっと耳にする。

 今まで見ると、季節的に発売しなくなったまま、二度登場しなかった、という例がかなりありました。また、映画のタイアップ商品で、上映が終了すると飲み物自体も発売や製造を終了する、と言う例も過去には一例見られます。けれども、大半は消費者の嗜好に合わず、製造中止になったものばかりです。しかし、次に挙げるのは人気があったのに製造中止になったものです。

012 カプリソーネ

 江崎グリコから発売された果汁飲料で瓶や缶には入っていない。では、何に入っているかと言うと、アルミパック。紙パックのジュースはよく知っているが、アルミパック入りのジュースは当時は珍しかった。「ウィダーinゼリー」が国内で発売されるはるか以前から、すでにパウチパック飲料は存在していたのだ。

 味はグレープ・アップル・レモン・オレンジ・グレープフルーツのフルーツドリンクと、コーヒー、そしてスポーツドリンクがある。この「カプリソーネ」は冷凍庫で冷やし、シャーベットにすることも可能である。夏場になると部活動の中学生がよく食べていた。
 液状のまま飲むとき、ストローをうまく差すのに一苦労された方も多いだろう。『だれでもできる』ストローの差し方と、『キミならできる!』のストローの差し方がパッケージに図説されていた。

 結構美味しかったのに、なぜ姿を消したのだろうか。「カプリソーネ」はもともとドイツの飲料製造メーカの製品で、江崎グリコが製造ライセンスを受けていたが、ドイツ側が値上げ交渉に出たため、グリコ側がそれを断ったという情報もある。

 ちなみに海外では「CAPRI-SUN」という商標名で現在でも販売されている。
KRAFT社・CAPRI-SUN商品情報

追加情報(2004.8)

 大阪市のおっちゃん様より「アメリカではなく、ドイツのビルド社(Wild)と提携されて製造販売されたもの」との情報を頂きました。
WILD社
Capri-Sonne商品情報

追加情報(2004.9)

 実地調査したところ、日本国内でも輸入物の「カプリソーネ」が購入できる場所があるようです。
 輸入食品店などをくまなく回ってみると見つかるかもしれません。
 なお、JR大宮駅ビル「ルミネ」地下にある輸入食料品店では、5パック箱入りの「カプリソーネ」が350円で発売されていました。

追加情報(2005.3)

 さきにふれたとおり、カプリソーネはドイツWILD社のライセンスを取得して製造販売していましたが、社史によればライセンス契約を結んだのは1979年10月。1980年4月から近畿地方で先行販売され、その後全国展開されたとのことです。

 さらに社史では、江崎グリコによる製造販売が中止されたのは1989年10月。自動販売機での缶飲料の売り上げが増えたこと、ストローを挿して飲むというスタイルが定着しなかったことにより売り上げが伸びないままライセンス契約を終了したと結んでいます。

上記追加情報の参考文献:「創意工夫-江崎グリコ70年史-」 江崎グリコ 1992

013 アンバサ

 1981年にコカ・コーラボトリングが発売した、乳酸炭酸飲料(乳性炭酸飲料)である。分かりにくいが、カルピスの原液を水で薄めて炭酸を加えた、と考えればよい。発売当時のキャッチコピーは「白いおいしさ」。

 乳性炭酸飲料は、地域限定(主に西日本地域)で発売されている南日本酪農共同の「スコール」が発生源とされ、この飲料の人気の根強さを受けて、コカコーラ社が全国展開向けに製造したといわれる。

 発売当初はグリーンの200ml瓶に白色のそれが入っていた。のちにメロンテイストの「アンバサメロン」やパイナップルテイストの商品も発売された。

 これも人気があったが、姿を消してしまった。レストランなどの大口向けに発売されているという情報もある。詳細を求む。

 なお、近畿コカ・コーラ社のエリアでは、系列会社である旧ケーシービー社(現シーアンドシー社、製造は近畿コカコーラ社)が販売する「エースフル サワーロイヤル」を目にすることができた。1981年発売開始と「アンバサ」と同時期に発売され、「アンバサ」よりも長い期間売られていたが、惜しくも2003年2月で製造を停止した。

追加情報

<ここから抹消>皆さんのご協力によりまして、「アンバサ」最新情報を集めることができました。
炭酸入りの「アンバサ」は、「アンバサ・サワーロイヤル」という商品名で近畿地方で発売中とのことです。また、炭酸なしの「アンバサ」も地域によっては販売中とのことです。関東地区で見かけた方はご一報下さい。
今後も継続して情報提供のご協力をお願いいたします。<ここまで抹消>

 本件に関し継続して調査したところ、「アンバサ」と「サワーロイヤル」は販売会社の違いから、別物とみなした方が適切なようです。なお、炭酸なしの「アンバサ」は「アンバサ・ホワイトウォーター」と呼ばれるもので、通常の白色バージョンと、白桃色のいちごウォーターと呼ばれるものが存在しました。
 また、アンバサ・メロンソーダは歴代のアンバサシリーズの中においての変態形です。

追加情報(2005.4)

 2003年4月、コンビニエンスストアのセブン-イレブンに限定して490ml缶の「アンバサ」が復活発売され、人気を博しました。
 さらに2005年1月からは「アンバササワーホワイト」が全国の自動販売機等で発売されました。
 アンバサ、返り咲きです。

014 ジェットストリーム

 1984年頃、「新柑橘系飲料」をキャッチフレーズにしてサントリーが発売した飲料。ペプシの「マウンテンデュー」やコカコーラの「メローイエロー」に対抗する目的で造られたと推測される。現在ではメンバーのひとりが「CGアーティスト」となったチェッカーズがCMに出演しており「ジェットストリーム、君に向かって〜」、というCMソングが有名になった。

015 バービカン

 寶酒造が1986年頃から発売していた「ノンアルコールビール」。アルコールが入っていないから、これでママもOKさ、と言ったかどうかは知らないが、「飲んでも酔わない」のはやはりつらいところ。近年、安価な発泡酒が登場し、しかもバービカンよりも美味かったりするので、影が薄くなったまま姿を消した。
 …と書いてから数ヶ月の2000年暮れ、ある酒屋に出かけたところ、この「バービカン」が現存していることを確認。黄色の缶に入って相変わらずノンアルコールだった。

016 オフサイド

 1985年から1986年頃にキリンが発売していた「第5世代飲料」と称する炭酸飲料。アップルジンジャーともうひとつ柑橘系のテイスト(シトラス)が発売されていた記憶がある。
 中でも印象的なのはCM。「作品1・無題」というタイトルで「ウフッ、フフフ」と子供が笑っている声のあとに7セグメントのデジタルが点数を出し「オフサイド、できます」とコメントする不可解な内容は今でも理解しがたいものがある。CMには「Question14・猫のじゃんけん」や「作品28・さまよえる酢豚」などのバリエーションがあり、現在でも語り草になっている。

 このページでは10件を挙げてみました。ざっと見たかぎりでは日本コカコーラボトリングの製品が変動が激しいのですが、ダイドードリンコやポッカなども変動が激しいという有力な情報もいただいております。

 現在、各社争って新製品を発売しています。しかし、その影で売れないものはすぐに姿を消します。そして、その製品の名も忘れ去られてしまい、完全に風化します。それが、消費者の嗜好に合う製品を作らなければならないという、飲料業界の厳しい実態なのではないでしょうか。

 こう述べている今でも姿を消した飲料、そしてこの世に新しく出る飲料は出てきます。
 飲料の世界は動き続け、止まることがありません。そのような中で、消えてしまった飲料を探すことは、太古の歴史にさまざまな推理を抱く歴史家や考古学者につながるものがあります。それを記録することは、私たちが水に味をつけて飲みだした、人類の味覚の歴史を記録することにもつながるでしょう。けれども、肩ひじを張っても面白くありません。飲料研究を趣味にしている皆さん、「楽しく、美味しく、時には不味く」、飲料を見つめていきましょう。

▲現代飲料考トップに戻る

dummy

[STIJ News] [月刊看板] [現代飲料考] [巷の風景] [My Trip]
[Stij Projectについて] [近隣諸網] [Blog] [to Toppage]
当サイト掲載の文書・画像・音声等の無断転載を禁じます。
dummy
dummy