現代飲料考 / 不定期ドリンクリポート / 気分転換飲料BINTA(ビンタ)を飲む / 公開0307 | |||
気分転換飲料BINTA(ビンタ)を飲む | |||
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2003年7月、サントリーは「BINTA(ビンタ)」というとてもユニークな飲料を発売しました。
「BINTA」って…
「BINTA」はサントリーから発売された非炭酸の清涼飲料水です。6月中旬から東京地区で先行販売されたのち、7月1日からは全国発売が始まりました。「大人のちょっと刺激的な気分転換飲料」をキャッチフレーズに以下2種類のテイストがラインナップされています。
Refresh Dry リフレッシュドライ
容量は350ml入りで、希望小売価格は160円と通常の清涼飲料水と較べて割高になっています。
リフレッシュドライ
ロゼのワインよりも赤みのある色をしています。
クールメンソール
スポーツドリンクを思わせる液体の色です。色から伝わるイメージもあって、一口飲んでみますとスポーツドリンクにミントを加えたような味覚です(かつてカルピスから「Air」というミント味のスポーツドリンクがありましたが…)。メンソールといっても激しくスースーと響くほどのクール感はなく、口中でかすかに広がって、そののち喉で余韻が残るミント感、といったものです。 もう一口味わってみると、どうも「のど飴」や「うがい薬」を連想してしまいます。「ホールズ・オーシャンブルー」や「ヴィックス・コフドロップ」、あるいは「コルゲンうがい薬」の100倍希釈液…そう、うがいをしていて思わず口中の希釈液を飲み込んだときの「あっ、しまった」という感覚を思い出させてくれます。
2つのテイストとも、えぐみがあって薬っぽさを感じます。個人的には「リフレッシュドライ」を、グレープフルーツ果汁の風味と苦味が混じったテイストのユニークさという点で一票を投じたいと思います。
ノンアルコール飲料の延長
続いて、「BINTA」のコンセプトを推測してまいります。 まずは、「ノンアルコール飲料」の延長線上にこの飲料が位置づけられる点です。前回(2003年5月公開)の「不定期飲料リポート・カクテル炭酸ウォウを飲む」で、2002年の夏前後からノンアルコール飲料が流行り出して、現在に至っていることに触れましたが、この「BINTA」もカクテルのテイストを意識しているように思われます。
しかし、「ノンアルコール飲料」や「カクテル風ソフトドリンク」と表向きには断言していません。ジャンルを限定しているわけではないようです。
ちび飲みの刺激
ふたつ目は、こうした刺激のある飲料と、少しずつ小分けに飲む「ちび飲み」という飲み方との関係です。 容器の変化は、ライフスタイルに大きな影響を及ぼす、と言われていますが、ペットボトル飲料の登場は、「飲み残しを持ち運んで少しずつ飲む」という飲み方のスタイルを確立させたといえます。マスコミはこれを「ちび飲み」と呼びましたが、このネーミング、あまり定着していないようです。 「BINTA」は、「ちび飲み」のスタイルに合うテイストを、という考えのもとで作られた飲料、ということもできるのではないでしょうか。一口で得られるインパクトや充足感を満たすためのテイストや、入れれば少しは口当たりがよくなったであろう炭酸を一切含んでいないことからコンセプトを見いだすことができるかもしれません。
対象は高い年齢層
3番目は、対象年齢の高さです。
再びカルピスの商品を例に挙げて恐縮ですが、かつて発売されていた「B&L」(Bitter and Lemon)というソフトドリンクと「BINTA」の間に多少の共通点を感じます。苦味のあるテイスト、緑色の瓶にまるで外国産ビールを連想するラベル、そして力強いロゴタイプ…一瞬アルコール飲料を思わせる外観が大きな特徴でした。苦味がうまみであることが分かる年齢層をターゲットにしていることが容器からも理解できます。 「BINTA」は「B&L」ほど極端ではないものの、クールなイメージのパッケージデザインは「若い大人」をターゲットにしているとも思われ、飲料のテイストは対象層をさらに明らかにしています。
おわりに〜ターゲットは少数派〜
販売促進キャンペーンで配布されていたリーフレットにこのようなコピーが載っています。
「万人に受ける飲料」ではなく「賛否が分かれる飲料」、「一部の人に受ける飲料」…。今まで少数派として切り捨てられていた層を掘り起こすために、さまざまな試みが進められていることが分かります。それほど潜在的なニーズを見つけていくことが手探り状態であることを物語っているのですが…。 |
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