10月24日 その時に、グラッと来たら
23日午後17時56分、新潟県中越地区で発生したマグニチュード6.8の地震(新潟県中越地震)は、小千谷市で震度6強の揺れを観測されたほか、24日夕方までに21人が亡くなり、1500人が負傷する惨事となりました。
この場を借りて、被災された皆さまにお見舞いを申し上げるとともに、弊サイトの運営費用の一部から微力ながらの援助をさせていただきたいと考えております。
地震に関する一連の報道を見ていて最も衝撃を受けたのは、走行中の上越新幹線「とき325号」が脱線し、車体が大きく傾く事故が発生したことです。地震発生時に長岡駅到着直前で電車が減速を始めていたこと、運転士のとっさの判断で非常ブレーキをかけたこと、地震検知システムが正常に動いたことが重なり、一人もけがをしないで済んだのは幸いですが、長い時間、車内に閉じ込められた乗客の皆さんは相当の苦痛だったと察します。
私も走行中の新幹線の車内で地震に遭遇したことがあります。
1998年2月、旅行で富山に向かっていた私は、上越新幹線で越後湯沢を目指していました。長い大清水トンネルに入り、もう間もなくトンネルを抜ける頃だと思っていたときに地震は起きました。
車内が突然暗くなり、非常灯だけが点灯すると、電車はいつにないスピードで減速を始めました。減速を始めてから1分後、まるでぜんまいの緩んだおもちゃが止まるかのようにベタリと停止しました。トンネルの中での緊急停止です。
非常灯がついているとはいえ、トンネルの中なので車内の視界は悪く、1車両の後方の様子を確認することができません。スキー客がおのおの弁当を食べたり談笑して賑やかだった車内は一転して沈黙だけが流れました。車両故障と思っていたのですが、車掌が地震発生をアナウンスすると、車内からどよめきが起こりました。
問題はこのあとです。当たり前ですが、停電になると電車の空調がすべて止まります。新幹線は気密性を高めるため、換気も電気を使って行いますから、換気が止まった車内に人いきれが充満するのはそう時間はかかりません。
停電よりも辛いのは、この換気がきかないことで、弁当やらサンドイッチやらスナック菓子の匂いに気分が悪くなったほか、空気の悪さで頭が重くなったのを覚えています。
トンネルの中で足止めを食われた時間はおよそ15分程度でしたが、このまま生き埋めになるのではないか、換気できず窒息状態になるのではないかとよからぬ想像が次々に頭をよぎっている間は、とても長く感じられます。
このような経験から、列車に乗っている最中で、万が一地震に遭遇したときの対応を記してみますと、以下のようになります。
1.急ブレーキがかかったら、座席に深く腰かけ、足を踏ん張る。
立っているときはしゃがみ込む。思わぬ障害物の落下に備えて、頭を守ること。
2.停電になってもとにかく騒がない。騒ぐと思わぬパニックを招く。
3.暗闇が不安を増幅するので、ペンライトの灯かりや携帯電話のバックライトを見つめる。
4.車掌のアナウンスをよく聞き、指示を待つ。
5.空気が濁って息苦しくなったら、デッキに出る。
窓が開く車両なら遠慮せず開ける。
6.指示がない限り、ドアコックを使って絶対に外へ出ない。
ドアから地上への段差は想像以上に高いうえ、思わぬ障害物が存在する可能性がある。
※やむをえず脱出するときは、とにかく左右前後を確認すること。
一つのドアに押しかけて将棋倒しにならないよう注意。
7.長時間の閉じ込めに備えて、飲み物や菓子を用意しておく。
8.隣の席の人と話すチャンスを作る。閉塞感をいかに打ち砕くかが決め手。
9.携帯電話を用いて外部への救援を頼む時は、様子をよく見て判断する。
あらゆるピンチに遭遇したときにまずやること、それは「考える余裕を作ること」です。
ただ、状況はまちまちです。さまざまな場合を想定して、「その時、自分なら何をするか」を日ごろから考えておく必要がありそうです。
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