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 緊急特集・先が暗い!? これからの年金

「将来年金がもらえなくなるって、誰から聞いたの?」江角マキコが問い詰める、社会保険庁の挑発的なコマーシャルは、「2003年不快CM大賞」があったとしたらおそらく上位ランキングに入っているだろうと思われます。
今回は秋に発表された年金改革案についてのレビューです。

 「きょうのことば20031101号」で社会保険庁のCMについてイチャモンをつける前後から、年金問題が広く報道されています。あの挑発的なクリエイティブは世論が年金に関心を持たせるための策略だったのではないかとさえ思えてきます。

 さて、厚生労働省は17日、新たな年金給付水準案を発表しました。大まかなポイントを整理してみますと次のようになります。

 1.2004年度から厚生年金の保険料率を段階的に引き上げる
  2022年度には年収の20%まで。以降は20%で固定。(現行13.58%)。
 2.2005年度から国民年金の保険料率を段階的に引き上げる。最大1万7300円
  (現行13300円)。
 3.厚生年金の給付金額は引き下げる。最低でも現役世代所得の50%を維持する(現行59%)。
 4.週20時間以上働くパート労働者にも厚生年金を適用する。
 5.離婚した妻にも夫の厚生年金を分割して支給する。
 6.70歳以上で一定所得のある人は支給率を下げる。
 7.国の積立金を95年間かけて取り崩す

 少子高齢化が進んで、年金保険料を払う人と受け取る人のバランスが崩れているのが改訂の大きな理由ですが、「掛け金は高く、もらえる額は少ない」という以前からの懸念が現実のものになってきました。
 簡単に計算すると、厚生年金に加入しているサラリーマンは9年後、年に給与1.5ヶ月分近い保険料を払いながらも、将来は30〜40代で受け取る月給の半分ちょっとしかもらえない、ということになります。ましてや国民年金(基礎年金)だけ加入している自営業者などは、さらに支給額は少なくなります。

 もう「老後は年金だけで暮らしていける」という時代は終わった、といっても過言ではありません。

 しかも、これらの改訂案を実現するためには、基礎年金の国庫負担割合を3分の1から2分の1に引き上げることが前提となっていますが、現在の政府・自民党は国庫負担割合の引き上げに対して明確な答えを出していません。
 また、さらに引き上げたとしても、入ってくるものがなければ維持できませんから、何らかの税金が上がることは確実で、所得税・法人税の増税を嫌がる財界筋が提言する消費税の増税は避けられない状態になっています。

 一方財務省は、厚生労働省の改訂案では国民が負担する割合が高くなる、と主張していて、給付水準を5割以下に下げろ、と要求しています。さきに触れた国庫負担割合の引き上げも「財源を確保できるまではやりたくない」と言っており、ここでも消費税の増税を匂わせています。

 いずれの道を歩もうとも、「月額の保険料は上がる、日用品にかかる税金も上がる、けれどもらえる年金は少ない」は確実で、江角マキコが敢えて言わなくても「将来、みんなが泣く」ようになるのかもしれません。
 過去の巨大政党による政権や私利私欲がうごめく行政の汚点のツケは、結局われわれが負う運命にあるわけです。どんなところでも同じですが、無責任なリーダーの下にいると、ホント、つらいです。

 とは言っても、悲観しつづけるわけにはいきません。戦争を生き抜き大きな経済成長を遂げた世代の人たちと同様の年金を受け取って生活しよう、という考えはもう捨ててしまった方が精神衛生的にいいかもしれません。

 さて、年金に頼らず生きていくにはどうしたらいいか、または年金だけで暮らしていくにはどうしたらいいか、そのためには「いま」をどう生きるか…。考えることは山ほどあります。
 今まで以上に「主体的に生きる」ことが重要になる時代、何かいいアイディアがないものかと、模索が続きます。

参考サイト

asahi.com
年金給付水準、現役所得の54.7%確保 厚労省改革案(2003.11.17)
YOMIURI ON-LINE
保険料固定、給付50%以上…年金改革案を公表(2003.11.17)
NHKオンライン
厚労省 厚生年金改正案発表(2003.11.16)

NHKオンライン
財務省 年金給付削減要求へ(2003.11.15)
asahi.comマネー
年金給付「現役の5割以下に」(2003.11.14)

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