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甲府から特急「ふじかわ」で約40分。富士山の西麓にある温泉郷が下部温泉。

武田信玄の「隠し湯」として戦で傷ついた武士を癒した。

ひなびたムードであふれるこの温泉郷で、今日も一枚の看板は旅人の疲労を癒している(のかな?)

下部温泉街にて  『ハハァ、ここが酒屋か』。旅の疲れが一気に噴出してきたので、早いところ宿にチェックインしてしまいたいが、その看板が気になってやまないため静止。

 この看板は武田酒店さんの店先に掲出するもので、地元ではかなり有名らしい。
 1980年代に読売新聞の日曜版でも紹介された前歴を持つ看板だ。感心が自己完結しているところにこの看板と、店舗に並ぶの品揃えの意味が伺える。

下部温泉街にて / 材質:アクリル板

温泉街源泉近くにて 今度は地元消防団の皆さんだけが見る看板。しっかりとホーローでできているところに、私のホーロー看板心をくすぐる。看板の掲出しているところには火の見やぐらがある。これは火災発生時の鐘の鳴らしかたを記載したもの。火事でも家屋と山火事で信号が違うところに注目。訓練のパターンも存在する。さっそく鳴らしてみたくなった。

温泉街源泉近くにて / 材質:ホーロー



下部温泉駅近くにて  看板とは全く関係ないが、奇妙なものを見つけたのでレポートしたい。これは下部温泉駅の西側を歩いていたときに発見したもの。温泉街とは反対側になるが、そこの電柱に書かれた奇妙な落書き。

 「四時九分にトイレに行ったものは
     四、九時間後 死ぬ
       それは四九(しぐ)だから」

 理由が書いてあることで、恐怖心から一気に苦笑に走らせる、楽しい「自己主張」である。きっと、書いている人も途中で怖くなって、理由を考えたにちがいない。それにしても「しぐ」と「ぐ」が濁るのは「愚」を表現しているのか。

取材:1996.2

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