現代飲料考 / 不定期ドリンクリポート / ところでサスケを考える / 97.06.15 改9710 | |||
ところでサスケを考える〜Think of SaSuKe〜 | |||
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ドリンクファンなら誰でも知っているサントリーの「冒険活劇飲料『サスケ』」。姿を消してからかれこれ12年近く経っているというのに、いまだに人気は衰えません。ネット上を探してみると、『サスケ』について紹介しているサイトが数多くあります。 なぜいま、『サスケ』なのでしょう。そして『サスケ』に思いを馳せるのでしょう。それを考えたとき、一つのキーワードが頭に浮かびます。 「奇抜と敗者のトラウマ」 『サスケ』を語るとき、頭にこびりついて離れないのは、あのCMです。 サスケの乗った馬が夜の暗闇の中をパカパカ走っていく。そして画面は変わり洋館にあるクラシック調の電話がジリリリと鳴る。そこで神父のような衣装を着た外国人がひとこと、 これが頭に残らないわけがありません。 しかし、あのCMや瓶の奇抜さにもかかわらず人気は今一つでした。CMも奇抜なら味も奇抜だったのでしょう。すぐに発売中止になりました。人によってはそれもミステリーを感じます。「何かあったんじゃないか!」と。 折しもあの頃は、グリコ・森永事件を初めとした食品会社脅迫事件が多発していた時代です。店頭からはポッキーやエンゼルパイが消え、菓子売場に空虚だけが残った時代です。その中で現われた『サスケ』の存在はどんな飲料にもかなわないミステリアスなオーラが渦巻いていました。 それにもかかわらず飲料戦争の中で敗者として『サスケ』の姿を私たちは同時に目にするのです。排除したいと思いながらもどこか気にかけ期待をよせる、しかし強者に挑もうとして破れる。当然強者とはコカコーラなどを示します。短い期間にその一部始終を私たちの前に見せつけた、それが『サスケ』なのです。 極端を恐れずに言わせていただければ、20代以上の関東、関西地方の飲料ファンには『サスケ』がトラウマとして頭の深奥に残っているのではないかと思うのです。それは悪い意味ではなく、いま私たちが飲料をコレクションしたり、いろいろな論考を述べたりするきっかけが『サスケ』なのではないか、ということなのです。いわば飲料ファンの原風景とでももうしましょうか。 『サスケ』がそんな存在だからこそ、12年経った今でも、内容物入りの瓶が高価で取引されたり、私みたいにいろいろ書いたりしているのだと思うのです。 最後まで読んでくださった皆さんへこのCM音楽はかの坂本龍一氏の作品です。より鮮明な音声でお聞きになりたい方は、CM/TV (CM・TV使用曲集)をご購入ください。 |
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