高知の特産を垣間見る
冒頭でふれたように、土佐の高知はゆずの生産量が全国一を誇り、生果実のほか、ゆずを用いた加工品が多く作られています。特に、ゆずの果汁とはちみつを加えた「ゆずドリンク」は県内の農協や食品会社各社で製造される比較的ポピュラーな加工品です。
数多くの製品が存在するゆずドリンクの中で今回ご紹介しますのは、この「YUZZ」。高知県の食品会社、旭フレッシュが販売している清涼飲料水で、「ユッズ」と読みます。どこかのマイナーロックグループのヴォーカル歌手が好んで使いそうな名前です。
Webサイトを見ると、この会社では主に麺類をしているそうですが、地場の特産である「ゆず」を使った製品も併せて販売していることが分かります。
「YUZZ」は200mlのガラス瓶入り。埼玉県南部のスーパーマーケットで100円で販売されていました。明るい黄色がまぶしいパッケージデザインは80年代中盤に流行ったイラストレーションを連想します。
パッケージをよく見ると、
Design : MANGAMIT
と書かれていることに気づきます。どんなデザイナーだろうかと調べてみると、これは珍しい「まんがNPO」の団体名(下記リンク先記事参照)。高知県は漫画家を多く輩出しているところで、青柳裕介、やなせたかし、はらたいら、西原理恵子といったそうそうたるメンバーが名を連ねています。そういえば四国を走る特急列車の車体には「アンパンマン」のイラストが描かれているものがあり、漫画を「特産品」のひとつとして観光や産業に活用していこうと盛んです。
このパッケージデザインもそんな「漫画産業振興」の一環で制作されたのだろうと考えられます。
こうしたローカル飲料から、地元の特産や産業、地域振興でPRしたいと考えているものが垣間見ることができ、非常に興味をそそります。大手飲料メーカーの製造する清涼飲料とはまた異なる魅力があります。
それではさっそく飲んでみます。
自家製を思わせる素朴なテイスト
ひとくち含むと「あ、なんか懐かしい味」という印象を持ちます。
以前、レモン汁をしぼり、そこに蜂蜜を入れて水で薄めた即席飲料を自分で作ったことを思い出しますが、レモン汁よりも酸味がまろやかで、ほのかに「ゆず」を感じることができます。極端な話、近所のお店でゆずと蜂蜜を買ってくれば、自宅で容易に再現できるのではないかと思えるテイストです。
蜂蜜特有のまったりとした甘味が多少残る感があるので、よく冷やした方がすっきり飲めるでしょうか。
近年、比較的テイストのはっきりした飲料が流行る中、たまにはこうした素朴な味わいの飲料を口にしてみると結構新鮮です。ほのかな風味を楽しむことを忘れずにいたいものです。