日韓共同のFIFAワールドカップの開催が目前に迫り、お隣韓国への関心がより高まっています。NHKテレビでも「とっさのハングル講座」などで日常会話をレクチャーしておりますし、巷の料理店や大衆居酒屋に出かけると韓国家庭料理のメニューが並んでいたりします。また、直輸入のコリアンフーズを販売する店も増えており、焼肉とキムチ以外の料理も広く知れ渡るようになりました。
さて、私もさっそくコリアンフーズを扱うお店へ足を運んでみました。場所は東京八重洲の地下街にある「ローズロード」。何も東京まで行かなくても近所にも数多くこのようなお店はあるのですが、今回のドリンクリポートにご登場いただく飲料を発見し、買った場所ということで紹介してみました。
店内には冷麺、キムチ、ヤンバン岩海苔といった「定番」メニューが並んでいますが、私の興味は店内の冷蔵ケースへ向かいます。そこにはハングル文字で書かれた、今までに見たことも飲んだこともないドリンクが陳列しています。現地産のコーラやサイダー、オレンジドリンクといった商品もありましたが、パッケージ的にも味覚的にも想像がつくので、今回は次の2点を購入してみました。
まずはこちら、「水晶菓」。スジョンガと読みます。ポップな黄色の缶デザインが特徴です。さて、こうした味覚不明な飲料は慌ててプルタブを開けて飲んでは面白くありません。パッケージや原材料から味を類推してみるのが楽しみ方です。
それではさっそく類推してみましょう。ハングル語は勉強したてで自信がないので、英語表記を読んでみることにします。「CINNAMON PUNCH」と書いてあるところから、おそらくシナモンの味と香りがしてきそうな気配です。
もう一つは日本でもおなじみの菓子メーカー「ロッテ」の韓国法人「韓国ロッテ」が製造している「ソレヌン」。250ml缶の飲料です。意味ありげに松の葉っぱのイラストが描かれています。「Pine Bud」これは松の芽という意味でしょうか。再び類推してみます。想像するに、山へ松ぼっくりを拾いに行ったときの、松林に漂う「松脂(やに)」の香りと、懐石料理の飾りつけの松葉を誤って齧(かじ)ってしまったときのような「えぐい」味覚が口中に広がるのではないかと思われます。
さあ、この類推が果たして的中しているでしょうか。実際に封を切ってみたいと思います。まずは「スジョンガ」から。
確かにシナモンの味がします。しかしこれはかなりきついですね。まるで榮太郎のニッキ飴を濃縮して、1倍の水で溶かしたような味覚です。どうもこのスジョンガ、韓国ではドリンクというよりはシロップの類に入り、ナツメの実や干し柿に浸して、デザートとしていただくのだそうです。確かに缶に「調理例」とありました。すなわち、私はシナモンシロップを一気飲みしてしまったわけです。
もう一つの「ソレヌン」のプルタブも開けてみます。プシュッと心地よい音がしますが炭酸飲料ではなさそうです。グラスにあけると透き通ったライムジュースのような薄緑色をしています。今度はこの液体に鼻を近づけてみます。これはどこかで嗅いだことがあります。そう、近江兄弟社の「メンターム」の香りがします。もしやハッカ、メントール系の飲料かと思わせます。それではひと口。
味のベースはどうもライムジュースのようですが、いかんせん「メンターム」いや、松の葉エキスの香りが強く、飲み慣れない人にとっては最初のひと口目は強烈です。一気飲みにはまず向いていないですが、ちびりちびりと飲み進めていくと、案外さっぱりしていることに気づきます。
これはきっと、カルビやテグタンスープのようなこってりした、辛い料理を食べた後の口直しに飲むには最適かもしれません。ただ日本料理のようにもとから淡い味付けが多い料理には、正直あまり合いません。
その国の料理にはそれに似合う飲料があることを実感しました。