最近のイチ押し ダメ出し / No.1086 / 2003.10公開 | |||
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最近のイチ押し ダメ出し 1086 ピタゴラスイッチのデシャヴュデシャヴュ…一度も経験したことがないのに、すでにどこかで経験したことがあるように感じること。既視感。(小学館「大辞泉」より)
休みを取ったある日、NHK教育テレビにチャンネルを合わせたところ、なにやらわけのわからない番組が放送されており、思わず見入ってしまいました。
番組Webサイトによると、ものごとの法則をとらえ、「考え方」を養うために、身近にある機械や気象を例にとってそれらの「法則」を幼児に分かりやすく教えるのが趣旨だそうです。このように書くといかにも教育テレビらしいプログラムになってしまいますが、私が幼児期に観ていた、短時間にアニメーションや人形を使ってモノの名前や数え方などの知識をひたすら叩き込む、といった「高度経済成長期型詰め込み教育的な幼児番組」とは趣きが異なり、観る側に「考える余地」を持たせているのが興味深いところです。 さて、この番組をいい歳こいた人が観ていると、あらゆる箇所で冒頭に書いた「デシャヴュ」を感じることができます。
まずは番組全体に流れる雰囲気。1974年〜1978年頃に日本テレビ系列で放送された「カリキュラマシーン」のはじけぶりを思い出す方も多いのではないでしょうか。 見た目は平面的なのだけれど人間的な個性を付加することであたかも生き物のような印象を持たせるキャラクターと、パズルのピース一片をつまんでは当てはめていくうちに全体像が現れてくるコーナー展開は、佐藤氏ならではの発想が存分に出ているように思えます。 そしてエンディングに流れる「アルゴリズム体操」。コント「悲しいとき」でおなじみの「いつもここから」が歌っています。コンピュータサイエンスにおける教育原理のレジュメを読むと、数理的原理を身体で理解しようというコンセプトが含まれているそうですが、映像を見るとじつにシュールです。
数百人の高校生が校庭で一糸乱れずこの「アルゴリズム体操」をしている光景はテクノ的無機質感に満ちあふれていて圧巻です。が、しばらく見ていると「いけないものを見てしまった」という羞恥心が襲ってきます。運動会の父母親戚が見ている中でマスゲームや神楽を踊らされたときの、胸を締めつけられるような恥ずかしさに似たものを感じます。 百聞は一見にしかず。この不可思議な番組をぜひともご覧くださいませ。
関連サイト
→NHKオンライン
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