最近のイチ押し ダメ出し / No.1081 / 2003.06公開 | |||
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最近のイチ押し ダメ出し 1081 気になるテレビCM・ハウス食品「おうちで食べよう」宮崎駿がはじめてのCM監督をつとめ、スタジオジブリが制作を手がけたCMについて考えてみました。 6月29日 気になるテレビCM・ハウス食品「おうちで食べよう」
・「商品名やキャッチフレーズの執拗な連呼」 と、えてして「しつこい」、「くどい」という形容詞で語られることの多いハウス食品のコマーシャルに新風を吹き込もうとしたのかどうか、6月初旬から民放各局で新しいバージョンのCMが流れています。 その名は「おうちで食べよう」シリーズ。アニメーションを用いたCMで、かの宮崎駿氏が監督をつとめ、スタジオジブリが制作するということでCM放送前から話題になっていました。 さて、実際に映像を見てみたのですが、何か違和感を覚えずにはいられなくなりました。失礼ながら、身体にこわばりを感じてしまったのです。気になったのは次の2つの点です。
ひとつはカメラアングルが高いこと。
もうひとつは、描かれる「風景」があまりにも美しく、豊か過ぎること。
「誰もが見たことのある幸せを象徴する心象風景を描いています」 ここ2年ほど、再び「懐古現象」が起きています。ただ、近頃の「懐古現象」は、1980年代初期〜中盤に流行った「レトロブーム」の「古いものを楽しみながら再発見、再評価する視点」とは異なり、「過去に対する過剰な美化と回帰願望」を感じます。いわゆる「プロジェクトX的懐古現象」と呼ばれるものです。
景気が悪くて、失業率も高くて、近隣諸国との関係も悪くて、犯罪や不祥事ばかりがクローズアップされる現代。1970年代に旧国鉄が掲げたキャッチコピー な状況に置かれたいま、現実を直視するのは確かに辛いことです。混乱した現状を打開しようと動くよりも、自らにとって都合のよかった過去だけつまみ出して顧みては慰めることばかりに社会全体が力を注いでいるようにも思えます。いつからこんなに後ろ向きで、臆病者になってしまったのでしょうか。
見た目に美しい映像や画像、聞き耳に美しい物語によって過去が表現されると、その世界の居心地のよさに魅了されることがあります。しかしこれらの世界に身を委ね過ぎると、かえって見落とし、聞き落としてしまう過去があることに気づかなければならないと思うわけです。
さて、「おうちで食べよう」シリーズを見てみると、確かに風景は古くて、子供たちも昔の遊びをしています。しかし、それらの風景とそれらを映し出すカメラの間に「越えられない壁」が存在していることに気づきます。 「おうちで食べよう」、結構なことだと思います。それでは、いくつかの問いを自ら出して、それらの問いについて考えてみたいと思います。
1.いつ頃から「おうちで食べて」いたのか? 後ろ向きばかりになっていると、答えは見つからなさそうです。
参考サイト
→ハウス食品
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